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■「アルザスのリクヴィール村・ヒューゲル社」   by ソムリエ川中


おとぎの国のワイナリー    フランスの北東部、ドイツ国境に隣接するアルザス地方。ライン川に面した東斜面はドイツと同じ品種を使った 辛口白ワインの産地です。  地理的に数々の戦争に巻き込まれ苦難の歴史を重ねてきましたが、ここコルマール市から車で20分ほどの所にあるリクヴィールの村は奇蹟的に戦災を免れ、今も中世さながらのたたずまいを残しています。  ヒューゲル社は、1639年に創業。この村のほぼ中心にあります。  せまい石畳の通りは毎日がお祭りの如く観光客で溢れ、 建物は昔のままの趣で、お土産物屋やワインショップ、レストランとして風景に溶け込むように営業しています。  記録的に暑かった今年の夏も終わり、急激に秋の気配が漂ってきたこの日、リクヴィール村でも収穫した葡萄をワイナリーへ運ぶ車が、沢山通りを走っています。ヒューゲル社もいよいよ醸造の時期を迎え活気にあふれていました。  今年のワインは暑さの為、とても早く熟したので、甘味の割に酸味が乗らず、早飲みタイプの仕上がりになりそう ・・・とのこと。「1893年にこんな暑い夏の記録が ありますが、私達の代では初めての事。不安ですが、毎年、毎年いろんなタイプのワインがあって、どのワインもまるで長男、次男を見ているようで、いとおしいです!」と語ってくださるその言葉に、自然の力に寄り添って生活しているアルザシアン(アルザスの民)の温かさに触れたようでした。  いにしえの 人の築きし この村に              今も変わらぬ 秋の風かな お粗末!!

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