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~ワインのボトルの底のへこみは何??~


ウオーター・ハンマー現象ってご存知?! ワインのボトルの底にはかなりの大きさのへこみがあります。何のための造作なのでしょうか? 不思議に思ったことはありませんか? 上げ底? デザイン? 指を入れて持ち易くするため?   いえいえ、ちゃんと意味があるのです! その理由は2つあって、ひとつはワインを長年熟成すると瓶の中に澱が沈殿します。沈殿した澱は人体に害はありませんが、口に入れるとザラザラしたり苦味があったりで、あまり心地の良いものではありません。 そこで私達はデキャンタ(ワインを移し替えるフラスコ瓶)を利用するのですが、瓶内のワインは移し替えの作業中発生する対流が澱をワインと混ぜ合わせてしまうのです。 ところが、瓶の底を凹ませておくと、その対流が起こりにくく、上手く澱とワインを分離させることが出来るという訳なのです。

さらにもう一つの理由は少し物理学的な話になりますが、 ウオーター・ハンマーなる現象を防ぐ為でもあるのです。 一般的に瓶というのは底が大きくて、口は小さくなっていますよね。その為、底が平らな瓶をテーブルなどに強く叩きつけると底の面積の部分に相当する衝撃が水の中を伝って口の部分にエネルギー負荷を与えます。 この現象は私達が想像する以上にとても烈しく、たとえば瓶ビールなどで実験すると、栓を着けたままの瓶の上部は簡単に吹き飛んでしまいます。(*0*! そうした危険を回避する為、エネルギーを分散出来るよう工夫されたのがワインのボトルの底の凹なのです。 それ故、ガス圧のあるシャンパンなどのスパークリングワインの瓶ならなおさら窪みが大きいという訳です。 お解りいただけましたでしょうか? しかし、シャンパンの高級品、ルイロデレール社のプレステージもの、ルイロデレール・クリスタルというシャンパンについては、例外が・・・・。 このChampagneは底が平らなのです。 世界でも一際、繁栄を極めたロシア王家・ロマノフ家の御用達シャンパンだったクリスタルは皇帝の要請を請けて特別なボトルを使うことになったのです。 ロマノフ家は、その豊かさ故に皇帝が暗殺されることがとても多く、それを恐れたアレクサンドル2世はシャンパンの瓶の底に危険な物を隠されたりしないよう、また、毒物などを混ぜられないよう既存の色付のボトルを中身がはっきり確認出来る透明なボトルに変更するよう注文したのです。 その慣わしが今日でもそのまま残され、ルイロデレールの最高級品は底が平らで、紫外線の影響を受けやすいと思われる透明ボトルがわざわざ使われているという訳! 富、権力のある方々はそれなりに大変だったのですね・・・。 おしまい”


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