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■「甲州市勝沼町への旅」 by グラン・ヴァン梶山


10月下旬、2泊3日の日程で日本を代表するワインの産地である甲州市の勝沼町へ行って参りました。日本ワイン発祥の地と言われるだけあって各所にブドウ畑が広がり、すでに収穫が終えられた畑がほとんどでしたが、のどかな風景が非常に印象的でした。また、この地域の気候は昼夜の気温差が大きく、土壌も水はけが良いということもあり、ブドウ以外にも桃やスモモなどの果物の栽培も盛んに行われていて、まさに果物の名産地。山梨県では、醸造用のブドウより生食用のブドウの生産量の方が多くなっているそうで、聞きなれない名前のブドウがたくさんあり、休憩で立ち寄った農園で食べた 「甲斐路」というブドウは、甘くて、みずみずしい味わいで、大粒でしたが皮まで食べられました!ちなみに、醸造用のブドウとしては、白ブドウは甲州種を中心にシャルドネ、セミヨン、デラウェアなど、黒ブドウはマスカットベリーA、ブラック・クィーン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロなどが主に栽培されています。

今回訪問したワイナリーの中から2つほどご紹介させていただきます。 「フジッコワイナリー株式会社」  勝沼町と甲府盆地を一望できる場所にある「フジッコワイナリー株式会社」さんは、“おまめさん”で有名なフジッコ株式会社さんのグループ会社です。年間約20万本のワインを生産されており、広大な敷地の中にある醸造所は1990年に完成し、ワイナリーとしてはユニークなことにデザート工場も同じ敷地内に併設されていて、ワインの試飲コーナーでは、ナタ・デ・ココの試食もできました。フジッコ株式会社さんが食品を扱っている会社ということもあり、醸造所内はもちろんお手洗いなども全体的に清潔で、安心・安全なものを消費者の方々にお届けするという品質へのこだわりが非常に印象的でした。 こちらのワイナリーでは、瓶内二次醗酵で甲州と巨峰で造られる本格派スパークリングワインの醸造にも力を注がれており、その人気は年々高まってきています。今年はこれまでの約2倍の6000本に生産量を増やされたそうです。それぞれの醸造工程を全て手作業(動瓶、澱引きなど)で行うため、労力がかかるというお話でしたが、ここでも手間ひまを惜しまない製品づくりへのこだわりを改めて感じることができました。また、ワイナリーに程近い畑では甲州種の実験農場があり、より美味しいワイン造りに着実に挑戦されている様子も伺えました。 「日本の食卓に合うものを・・・」という思いを込めて造られるワインは、どれもクオリティが高く、中でも印象深い味わいだったのが…


①「穂坂シャルドネ2006」 山梨県韮崎市穂坂地区のシャルドネを100%使用して造られています。フレンチオークの小樽で澱と共に14ヶ月熟成させていて、キリッとした味わいの中に奥行きを感じました。 ②「甲州シュール・リー2006&2007」 2006年はレモンを思わせる柑橘系の果物の爽やかな風味が広がり、穏やかな甘味が優しく飲み心地が印象的。 2007年は2008年の国際ワインコンクールで銅賞を受賞。ほんのりとした独特の苦味が、甲州種の個性を表現していました。 ③「マスカットベリーA 樽熟成2005」 フランス南部の品種グルナッシュのようにスパイシーな風味があり、柔らかいコート・デュ・ローヌの赤ワインを思わせます。程よいコクと果実味がバランスよく楽しめます。 これらのワインは価格がリーズナブルで、家庭で気軽に楽しめる親しみやすさがあり、普段の日本の食卓は醤油やだしなどを使った味わいが比較的控えめな料理が多い中で、甲州種の持つ穏やかで澄んだ果実味がお互いの持ち味を引き出してくれるなと改めて感じました。また、樽を使って醗酵、熟成させた甲州種は、よりしっかりとした飲み心地がありますので、鶏のから揚げや豚肉のしょうが焼きなどの肉料理に合わせても十分。マスカットベリーAもすき焼き、焼肉などの肉料理との相性が楽しめそうです。これらのワインの美味しさと親しみやすさをぜひ、グランヴァンで皆様にご紹介できたらなと思いました。

「ルミエールワイナリー」 もともとスケジュールの中では訪問する予定はなかったのですが、近くまで来たので立ち寄ってみたワイナリー。シャトー・ルミエールという著名なワインを生産することで名前は良く耳にしていたワイナリーでしたが、実際こちらのワインはこれまでほとんど飲んだことはありませんでした。創業は明治18年という老舗のワイナリーで、想像していた以上のワインを生産されているのに驚きました。(年間40~50万本だそうです。)こちらのワイナリーの見所はなんといっても、明治時代に作られた石蔵の醗酵槽の壁を取って改造された地下セラー。壁には実際に醗酵槽として使われていたときの酒石が残っており、深い歴史を感じる光景が見事に広がっていました。生産量は少ないものの、今でも石蔵の醗酵槽でワインが造られており、石から湧き出る自然酵母がワインに独特の風味をもたらすそうです。一貫して追い求めて来られた品質へのこだわりが今日まで受け継がれ、新しい試みをされながらも、古き良きものを大切にされている様子が感じられました。 醸造所の隣に併設された売店では、気軽に試飲が楽しめました。中でも面白かったのが、醗酵途中の甲州を試飲することができ、甘い風味に包まれた独特の味わいが印象的でした。 ①甲州 2005 レザンファンシリーズ  一口飲んで、「美味しい!!ブドウの味がする!」・・・変なコメントですが、澄んだ美しい果実味が心地よく、ブドウ自体の味わいが素直に表現されている印象的な甲州でした。 ②石蔵和飲マスカットベリーA 2007 国の登録有形文化財にも指定されている「石蔵醗酵槽」を用いて造られます。 黒糖、焼き芋、醤油などを思わせる香ばしく、複雑な香りとフレッシュな飲み口。まろやかな渋みは、これからの季節でも冷やして楽しみたい赤ワインです。 ③ルミエールイストワール 2005 シャトー・ルミエールのセカンドワイン カベルネ・フランとブラック・クィーンをブレンドした、程よいふくよかさが印象的な味わいです。どことなくボルドーワインをイメージさせるような果実味がありました。 ④光甲州 2005 「光」のフランス語訳はルミエール、その名に相応しくルミエールの代表ともいえる白ワイン。 地元一宮南野呂地区と勝沼町の甲州から造られ、24ヶ月じっくりと樽熟成。上品なほのかなバニラ香は、きつすぎることはなく心地よく感じられました。深みのあるコクがこれまで味わってきた甲州種の印象とは異なり、甲州種の奥深さを知ることができました。 「一つ一つのブドウの個性を大切に、ワインにブドウ本来の味わいをしっかりと表現すること。」 ルミエールのワインを試飲させて頂きながら、ワイナリーの方のお話を聞く中でその思いをしっかりと感じることができました。 日本の生産者の方々も、それぞれより美味しいワイン造りに日々励んでおられる姿がとても印象的で、これからますます日本のワインの品質向上が期待できる気がしました。私達もこれから少しずつでも皆様に、日本のワインの美味しさをお伝えして行きたいと思った旅となりました!

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