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■「南フランス・シャトーヌフ・デュ・パプのワイン」


太陽がいっぱい”ローマ教皇が開いたワインの産地 アヴィニョン・・・。  14世紀、70年もの間教皇庁(法王庁)があった場所であり、世界史を勉強された方は「教皇のアヴィニョン捕囚」という歴史的事件で聞いたことがあるでしょう。フランス国王とローマ法王との政争により教皇が南フランスのアヴィニョンに軟禁された事件の話です。ここで法王はフランス国王から監視され、和解するまでの70年間、政治的影響力を制限されたのです。  その後は御存知のとおり教皇庁はローマのバチカンに戻されましたが、今でもアヴィニョンは町全体に城砦がめぐらされて、町の中心にはかつての教皇庁がそびえており、当時を偲ばせています。  現在ここは、博物館として一般公開されて、その当時の刺繍や宗教絵画、教皇の生活を垣間見ることができます。 小高い丘の上にあるこの建物からはアヴィニョンの美しい景色が一望できます。

 シャトーヌフ・デュ・パプChateauneuf-du-Papeは、日本語に直訳すれば「教皇の新しい城」という意味。すなわち、この教皇庁にまつわるワインなのです。  教皇庁がここに移った時期に、教皇は教皇庁の喧騒を嫌い、アヴィニョン郊外10キロのところに別荘、つまり「新しい城」を建てました。そしてその地に、教皇(法王)クレメント5世自らが葡萄畑を開拓したのが始まりです。 実はローマの教皇庁には、その当時ブルゴーニュから良質のワインが届けられていたのですが、このワインも政争に勝ったフランス国王が独占。教皇はこの地で自らワインを造るしか選択肢は無かったんですね・・・ この別荘は今では外壁のみの遺跡になってしまい村の高台にひっそりと佇み、往時を偲ぶ事など出来ませんが、葡萄畑は、その斜面から村の外れまで広く開かれ、今なお素晴らしいワインが造られています。 このワインがシャトーヌフ・デュ・パプです。  ローヌ地方の最南端、地理的にはプロヴァンス地方と隣りあわせで、気候も風土もプロヴァンス地方に似ていますが、ワインの地区としてはコート・デュ・ローヌのワインに分類されます。  ここシャトーヌフ・デュ・パプの生産地域は気候はかなり温暖、雨は少なく、大きな丸い石ころに覆われた荒れた土壌で水捌けは抜群。濃厚なワインが仕上がる所以です。 更に葡萄の木も60cm程度の低い盆栽のような仕立で夜になっても石ころの熱によって葡萄が暖かさを保つように工夫されており、糖度の高い・・つまりアルコール度の高いワインが作ています。  ワインは殆どが赤。ほんの1割程度の白も造られています。  シャトーヌフ・デュ・パプのワインの最大の特徴は、13種類の葡萄品種をブレンドしてもよいと、法律で定められていること。もちろん、これほどたくさんの品種の使用を認めている産地はフランスでは他にはありません。  教皇クレメント5世はワインという飲み物に薬効を見出し、自らさまざまな品種を植えて、それらのブドウをブレンドしてその効果を試したといわれています。  この地区での造られ方はその時代の歴史的背景があるからなのかもしれません。  許可品種は黒ブドウ品種が9種類、白ブドウ品種が4種類ですが、これらの品種が全て使われているかといえば、そうではなく、造り手はこれらの品種のうち自由な選択の数種類を使ってブレンドします。赤ワインならグルナッシュ品種、ムールヴェードル品種を主として使う所が多いようですが、ドメーヌにより比率や使う品種がまったく違っているので、造り手の違いが味わいに大きく影響を及ぼします。  つまり、好みの味わいを見つけるには好みのドメーヌを見つけなくてはならず、とても厄介なワインとも言えます。  とはいえ、しっかりと凝縮感のある「濃い」ワインが好きな人にはそれほど「ハズレ」はないでしょうし、価格は3000円程度のワインが殆どなのでいろいろ試しながら、好みの1本を探して見るのも楽しいものです。


 シャトーヌフ・デュ・パプのワインはボトルが特徴的で、写真のように瓶に法王庁・ロゴマークの浮き彫りがあり、比較的容易に見つけることが出来ます。 コクがあり、スパイシーで複雑な要素を持ったワインですから、料理は、しっかりとした味付けのジビエなど、くせのある獣肉料理との相性は抜群ですし、ハーブの香りを付けたスペアリブ、ローストビーフなどとも(私の大好きな組み合わせですが)良く合います。  ニンニクとローズマリーでマリネしたスペアリブを、炭火でグリルし、シャトーヌフ・デュ・パプの豊かな香りと共にいただく・・・・最高ですよ、これは!! かの昔 幽閉されし 法王の 涙染み込む 渋き味かも 

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